7月の相談【労働者を役員として出向させた場合の保険関係等は?】
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社 長) |
当社の営業課長を関連子会社の代表取締役として出向させます。
給与は当社から全額負担ますが、社会保険や労働保険の取扱いはどうなりますか。
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社労士) |
在籍のまま給与も全額を支給するのであれば社会保険関係は、そのまま継続になります。雇用保険関係も同じくそのまま継続です。
労災保険は原則として出向先で適用することになっていますから、労働保険料:年度更新の際には賃金総額から除いて計算するようになります。
ただ、代表取締役のため労災保険の適用はなくなります。
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社 長) |
役員出向でなければ労災保険料は、出向先である関連会社が計算して納付するのですね。
出向にあたり当社での業務は全くありませんので、業務中に怪我をした場合の対策はあるのでしょうか。
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社労士) |
出向元での業務があれば、その業務中は労災保険の適用がありますが、ない場合には「労災保険の特別加入」に加入するか、民間の生命保険や損害保険に加入することを検討した方がいいです。
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社 長) |
本人(営業課長)は渋るかも知れません。でも出向ですから強制できますよね。
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社労士) |
役員出向については労働者の個別の同意が必要であり、業務命令等の強制はできないとする考えもあります。
トラブル防止からも就業規則に「役員出向を命じることがある」などの定めと、個別の同意を取得しておいた方が良いと思います。
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社 長) |
参考までに、一般的な出向の場合はどうですか。
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社労士) |
一般的な出向の場合は労務の提供先である出向先が、賃金を負担し社会保険や労働保険についても出向先が付保(保険をつける)するのが原則かと思います。
ただ、実務上は給与等不利益になることがあるため、出向元の基準に従って出向元が賃金を支払い、相当分を出向先が出向元に出向料などの名目で支払うようです。
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